■来し方と行く末【パターンA】 土浦

 一瞬瞳を揺らした彼女が、ゆっくりと目を閉じた。
 あと5センチ。
 俺も瞼を降ろし、視界を閉ざして引力に身を任せた。

 彼女を家に送り届け、朝とは全く違う気分で自宅へと戻る。
 指先が無意識に口元へ行き、まだ唇に残っている感触を辿ってしまう。
 今朝見た夢は『正夢』あるいは『予知夢』だったのだろう。
 夢は途中までしか見られなかったけれど。
 現実の彼女の唇は、温かで柔らかく、甘かった。

〜おしまい〜

【プチあとがき】
 パターンAは『ノーマルな香穂子さん』でした。
 別名、『土浦の思惑にうっかりハメられてしまった香穂子さん』(笑)
 明日コンサートで香穂子さんの演奏が上の空だったら、責任取りなさいよ土浦さん(笑)
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【2008/06/08 up】