■がむばれ!八葉! 【その2・景時さんの憂うつ】
空は青く、風はさやかに吹き過ぎる。
さんさんと降り注ぐ陽射しも、申し分ない。
「ふんふんふん♪ ふふふふ〜ん♪ 今日も嬉しい洗濯日和っと♪」
今日も今日とて、景時は洗濯に汗を流している。
「さぁて、あとは干すだけっと♪ …あ゛」
絞った洗濯物を広げていた景時の手がふいに停止する。
「あ゛ー、どうしよう……… ま、いっか。干しちゃえ干しちゃえ」
洗濯物を一気に干し終えると、景時は鼻歌混じりで、桶を抱えて家に入っていった。
「うーん、いい天気♪」
梶原邸の広い庭を散策していた白龍の神子・望美は、背伸びをしつつ、空を仰いだ。
「うわぁ、これなら洗濯物も良く乾く─── えぇぇぇぇっ!!!」
望美は目の前の光景に、我が目を疑った。
「かーげーとーきーさーーーんっ!」
「ん? なんだい、望美ちゃん… うわぁっ」
望美の叫びにも似た呼び声に答えて顔を出した景時は、自分の呑気さを後悔した。
拳を握り締め、洗濯物をバックに立つ望美の後ろに、揺らめく炎を見た気がしたからだ。
「ど、どうしちゃったのかな〜」
そらっとぼける景時を一瞥すると、望美はびしぃっと洗濯物を指差し、
「なんですかあれっ! もうっ、何度も言ったじゃないですかっ!」
「うぅ、ごめんよ〜。で、でもね、新品なんだよ。使う前には、ほら、一応洗いたいじゃない?」
おろおろする景時に、望美は容赦しない。
「あれ程言ったじゃないですかっ、色柄物は分けてくださいって!」
望美の指差す先には、陽光を浴びて気持ち良さそうに物干し竿で揺れている、ピンク色に染まった手ぬぐいと、
景時のおにゅーの赤ふ○どし(ちょっと色落ち)。
〜おしまい〜
【2005/08/26 up】