■小ネタツイートLog【その19】 龍馬

 現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
 新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
 ※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)

【#181/同題遙か「慕」】
「龍馬さん、すごい……怨霊にまで慕われてるなんて」
 知り合いを装い接触してきた怨霊を倒した直後のことである。
 龍馬はぽりぽりと頭を掻いて、
「いやお嬢、今のはちと違うって」
「……?」
「ま、お嬢がやきもち焼いて助けに来てくれるんなら、怨霊に慕われるのも悪かないな」

【#182/同題遙か「撫」】
 頭を撫でると、何故か彼女は悲しげに顔を曇らせた。
「あの……私、そんなに子供っぽいですか?」
「んなこたぁないが……そうか、頭はいかんか……じゃあ」
 手を頭から頬へと移動させてみた。
 柔らかな肌、見開いた瞳が揺れて。
「だから頭で我慢してたんだがなぁ」
 苦笑しつつ、彼女を引き寄せて口付けた。

【#183/同題遙か「絡まる」】
「お嬢、後ろ頭に小枝がくっついてるぜ」
「え?」
 撫でただけでは取れない程、髪に絡まってしまっている。
「よし、じっとしてな」
「はい」
 彼女の正面に立ち、頭を抱え込むように腕を回す。
「あ、あの……後ろですよね?」
「ああ」
 このまま本当に抱き締められたらいいのに。

【#184/同題遙か「靴下」(龍馬+アーネスト)】
 彼の持ってきた一抱えの布。
「龍馬さん、それは何ですか?」
「よくぞ聞いてくれた!」
 バサリと広げたそれは靴下。
 ただし人一人が余裕で入れるほど巨大なもの。
 確かに数日前にクリスマスの風習の話をしたけれど。
 彼はパンッと手を合わせ、
「明日起きたら、これにお嬢が入ってますように!」

【#185/同題遙か「狼」】
「坂本ってさ、やっぱ犬属性だよな」
「うん、たまにお耳としっぽが見える気がする」
「だよな」
 しかし都ははたと考え込む。
「けどさ、あいつってもっと原始的な気がしないか?」
「じゃあ……狼?  きっと優しい狼さんだね」
 そうであってほしいが、警戒は怠るまいと思う都だった。

【#186/同題遙か「羽衣」】
 夢の屋がよく『天女』と言い表すから── 龍馬は脱いだ羽織を彼女の肩にかけた。
「天女にゃ羽衣が必要だろ?」
 彼女はふわりと微笑んで、
「龍馬さんの羽織なら、本当に空が飛べそう」
「そりゃ困る」
 紐を結んで、その結び目をぎゅっと掴む。
「ま、お嬢がどっかに飛んでかないように、こうして捕まえとくさ」

【#187】
 バラバラとどこかから奇妙な音が降ってきた。
 遠くでヘリコプターでも飛んでいるのかと空を仰ぐ。
「── お嬢、ありゃ何だ?」
 彼の指さす方向に銀色が光った。
 太陽を反射しながら、青空を背景にゆっくりと大きさを増していく。
「あ……あれは飛行船ですね」
「『ひこうき』とは違うのかい?」
「飛ぶしくみが違うから……」
「へぇ……」
 眺めているうち、ラグビーボールを引き延ばしたような巨大な飛行船が頭上に差し掛かった。
「ふふっ、まるで銀色のくじらがお空を泳いでるみたいですね」
「おおっ、まさしくクジラだな!  ほんと、お嬢の世界は面白いなぁ」
 なんとなく、ありがとうございます、と呟いてみる。
 それから銀色が彼方に消えるまで、しばらく並んで空を仰ぎ続けた。

【#188/同題遙か「腹」(龍ゆき?)】
「サトウ君の腹芸には驚いたよ」
「いえ、小松さんの足元にも及びません」
「まあ、龍馬には腹芸は無理だね」
「えっ?」
 ふっと笑った小松に
「龍馬は腹に収めるより、実行してしまうのが先でしょ」
 と言われて気がついた。
 腹に顔を書いておどける彼を想像していた大きな勘違いを。

【#189】
「ゆき、首んとこ虫に刺されてる」と都に指摘された。
 そういえばさっき、ちくりと痛かったっけ。
「薬もらってくるよ」
「ううん、大丈夫。 鈴蘭の香りに誘われた優しい虫だから」
 きょとんとした都が一転怖い顔。
「おのれ坂本っ!」
 弾丸のように部屋を飛び出した。
「あれ?  なんでわかったの?」

【#190】
 出先での急な雨に借りた傘は二人に一本しかなくて。
「よーし、お嬢は俺とな」
 半ば強引に彼女を傘に入れる。
「ありがとうございます、龍馬さん」
「いいっていいって、礼なら」
 先に行った仲間たちから隠れるように傘を傾け、彼女の前に屈み込む。
 柔らかい感触を一瞬だけ。
「勝手にいただくぜ」

【2013/01/28 up/2013/03/18 追加】