■小ネタツイートLog【その17】
現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)
【#161/同題遙か「ぽかり」】
あの日、心にぽかりと空いた穴。
必ず見つける、と息巻いたところで、どんなに探しても見つからないという事実が穴を更に深く穿つ。
「……つっ」
ガラスの欠片を弄んでいた指先に走る痛みは、彼女からの叱咤に違いない。
血の滲む指先をギリと噛んで、勢いよく立ち上がった。
【#162/同題遙か「苛立ち」】
どうすれば彼を刺客から守れるの?
何をすればいいのか判らず、苛立ちだけが募っていく。
「大丈夫か?」
目の前に都の心配そうな顔。
「……うん」
ふわりと抱き締められた。
「都!
ずるいぞ!
お嬢を抱き締めるのは俺の役目だろ!」
駆けてくる彼。
私はあなたを守ってみせる。
【#163/同題遙か「抱」】
「お嬢、抱かせてくれよ」
「優しく、ですよ?」
そんな会話に頭が沸騰した。
「おい坂本!」
「あ」
縁側に座るゆきの膝から白い物体が飛び降りて、垣根の向こうへ姿を消す。
「気にせんでくれ、都。
あの猫、俺が抱こうとしたらどうせ逃げてたさ」
「…………紛らわしい会話すんな!」
【#164/同題遙か「眉」】
「お嬢?」
急に顔を覗き込まれたかと思えば、近づいてきた指先でつんと眉間をつつかれた。
「どうした、悩み事か?」
思わず目を伏せる。
と、彼の顔が近づいて、さっきつつかれたところに何かが触れた。
「っ!」
「悩み解消のまじないってとこだ。
お嬢に眉間の皺は似合わんぜ」
【#165/同題遙か「友」】
「お二人はずっとお友達なんですか?」
ゆきの問いに、龍馬と高杉は顔を見合わせた。
「そうだな」
「同志、でもあるが」
「相手を尊敬して信頼して……私もお二人とそういうお友達になりたい」
「……それは難しいだろう」
「え?」
「お嬢とは、友なんて関係じゃ物足りんからな」
【#166/同題遙か「仮」】
「龍馬さんには『別の顔』があったりするんですか?」
「なんでそう思うんだ?」
「そりゃあんたが『ヒーロー』なんて名乗るからだろ。
私らの世界のヒーロー物だと、大抵『世を忍ぶ仮の姿』ってのがあるんだ」
「へぇ。
だが俺は俺だ。
いつ何時でもお嬢の『ひーろー』だぜ」
【#167/同題遙か「磨く」】
熱心に何かを磨く彼女の手元には、青。
「お嬢、そりゃ」
「あ……いつも綺麗にしておきたくて」
己に何かあれば墓に埋めてくれと渡した、いわば己の分身。
「なんかお嬢に背中流してもらってる気になっちまうな」
「えっ?」
「あ」
二つの赤い顔の間で、青い鱗がキラリと光った。
【#168/同題遙か「挫」】
彼女の手に巻かれた包帯。軽い捻挫らしい。
「お嬢、困ったことがあったら何でも言ってくれよ。
まずは飯時に困るか。
よーし、俺が食べさせてやるぜ!」
「何言ってんだ、ゆきの世話は私がするに決まってるだろ!」
「龍馬さんも都も落ち着いて。痛めたのは左手だから大丈夫」
【#169/同題遙か「唯一」】
「龍馬さん、銃のお手入れですか?」
「ああ、お嬢のおかげで手に入れた唯一無二の銃だからな。
大事にせんとバチが当たっちまう」
「ふふっ。
でも唯一っていっても、二丁ありますよ?」
「あー、そりゃあ……二つで一つ!
── 俺とお嬢みたいにな」
彼女が赤い顔で微笑んだ。
【#170/同題遙か「まわる」】
「物事っちゅうのは何でも、回り回って自分に返ってくるもんさ」
龍馬は力説する。
「いいことすりゃ、そのうちいいことがある。
悪いことなら罰を受ける。
嫌だと思った相手には嫌われ、好きになった相手からは好かれる!」
な、と同意を求められ、ゆきは思わず頬を染めた。
【2013/01/05 up】