■小ネタツイートLog【その16】
現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)
【#151/同題遙か「迫る」】
── まずい。
「気にせんでくれっ」
「だめです」
額にできた小さな傷を目敏く見つけた彼女。
手当てをさせろと迫ってくる。
自制心を保つには距離を取るのが一番だというのに。
仰け反りすぎて、彼女ごと倒れてしまった。
「……お嬢が悪い」
言い訳して胸の上の彼女を抱きしめた。
【#152/同題遙か「羨む」】
店先を冷やかす二人の若い女性がとても楽しそうに見えて。
「羨ましくなっちまったか?」
慌てて首を横に振る。
「お嬢はお嬢さ。
俺は神子の役目を頑張ってるお嬢が大好きだぜ」
女性と目が合った。
「やだ、こんな往来で」
「でも羨ましい」
な?、と頭を撫でられ自然と頷いた。
【#153/同題遙か「猫」】
日当たりのいい縁側に、猫のように身体を丸め横たわる彼女の姿。
「おいおい、んな格好で」
丈の短い召し物から見える折り畳まれた細い足。
視線を外しつつ、脱いだ羽織を掛けてやる。
膝を貸してやりたいが、せっかくのまどろみを邪魔するのも可哀想で。
隣に座り空を眺めた。
/
「お?」
都が見つけたのは縁側に寝転がる二人。
頭をくっつけ、猫のように背を丸めた姿は、まるで線対称のようにそっくりだ。
白い羽織に包まれた彼女はさしずめ白猫で、彼の方は茶トラあたり?
「手でも握ってたら、坂本を蹴り落としてやったとこだけどな」
苦笑しつつ静かに通り過ぎた。
【#154/同題遙か「嵐」】
「本格的な嵐だな」
今日の予定は悪天候のため中止と知らせがあった。
「ごめんなさい」
「なんでお嬢が謝るんだ?」
「だって……なんだか嬉しくて」
忙しさにかまけて淋しい思いをさせているのだ。
抱き寄せて、はたと考える。
「(神子は龍神の力で雨を呼ぶらしいが……まさか、な)」
【#155/同題遙か「満」】
縁側に座り空を眺める。
「おー、見事な満月だな」
相槌を打つように獣の遠吠えが聞こえた。
「ふふっ、狼男にならないでくださいね?」
「なんだ、そりゃ?」
「満月を見ると狼に変身するっていうお話です」
「へぇ……ま、解らんでもないな」
がおー、と吠えて、彼女に抱きついた。
【#156/同題遙か「鳴」】
「『鳴かぬなら』──
お嬢ならどうする?」
「……そうですね、鳴かない理由がきっとあるはずだから、それをなんとかしてあげたいです」
「なるほど、お嬢らしいな」
「龍馬さんは?」
「美味いもん食って、楽しいことしてりゃ、そのうち鳴きたくなるさ」
「ふふ、龍馬さんらしい」
【#157/同題遙か「ふわり」】
ふわり、と香りが鼻をくすぐった。
幕末の時代に香水をつけている人がいるなんて思わなかったけれど、すっかり馴染んだその香りに胸が高鳴っていく。
「龍馬さん」
「よ、お嬢!
お、今日もつけてくれてるんだな」
私の香りもふわりと彼に届いたのだと思うと嬉しくなった。
【#158/同題遙か「蝕む」】
徐々に体温を失っていく身体。
諦めなさい、と優しく囁く狭間の神の声が毒のように心を蝕んでいく。
我知らず口元が笑みの形に歪んだ。
救いたいと強く願う時、脳裏に浮かぶのは凶刃に倒れた彼の姿。
彼の命を救うことしか考えられない私は、とうにエゴという毒に蝕まれている。
【#159】
「お嬢!」
元気に駆け寄ってくる龍馬、その手にはいっぱいのお菓子を抱えている。
「龍馬さん……そのお菓子、どうしたんですか?」
「いや、今日はハロなんとかって日なんだろ?」
「あ、ハロウィン?」
「そうそう、それだ!
好きなだけ貰ってやってくれ!」
「ふふ、ありがとうございます」
「ふぅん…」
意味ありげに鼻をならすアーネスト。
「ん?
なんだ?」
「いえ、『Trick or Treat』──
龍馬さんは、お菓子をあげるより、ゆきからの悪戯のほうが嬉しいのではないかと思ったものですから」
「……しまったぁぁぁっ!」
龍馬の手からお菓子が零れ落ちていった。
【#160/同題遙か「野暮」】
「大好きだぜ、お嬢!」
華奢な身体を抱きしめる。
「さ、坂本殿っ!
公衆の面前で恥ずかしくないのかっ!」
真っ赤な顔でチナミが声を荒らげた。
「そう野暮なこと言いなさんな。
気持ちは言葉と行動に出さなきゃ伝わらないんだぞ?」
本当は気持ちが溢れて自重できないだけ。
【2013/01/05 up】