■小ネタツイートLog【その15】 龍馬

 現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
 新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
 ※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)

【#141/同題遙か「お揃い」】
 通りかかった神社。
 ふと思いついてお守りを買いに行く。
「お守りをいくつも持ってると、神様同士が喧嘩するって聞きました」
 彼女は腕に触れながら眉を曇らせた。
「心配いらんさ。 その腕守りは神頼みじゃなくリンドウ頼みだからな」
「あ……じゃあ、またお揃いが増えますね」

【#142/同題遙か「恋敵」】
 日本をよりよくしようと奔走する彼を、誇らしい思いで送り出す。
 そのくせ無事に帰ってくるまではとても心配で。
「龍馬さんは本当にこの国が好きなんですね」
 国にやきもちなんて変だけど、少しだけ拗ねた口調になった。
「そりゃそうさ、お嬢と一緒に生きていく国だからな」

【#143/同題遙か「柔」】
「お嬢の世界の物はなんもかんも柔らかいんだなぁ」
 タオルで顔を拭きながら、しみじみと龍馬が言う。
 そういえば初めてソファに座った時も、布団で休んだ後も同じようなことを言っていた。
 そんなに違うかな、と考えていたら、急に腕を引かれて抱きしめられた。
「一番はお嬢だな」

【#144/同題遙か「とける」】
 長い時間の後、唇を離した。
「……アイスクリームみたいに溶けてしまいそう…」
 苦しげに息を整えた彼女が、熱に浮かされたようなか細い声を漏らす。
「あいす……ああ、あの甘くて冷たいやつか。 そりゃ美味そうだ。 溶けきる前に食べちまわんとな」
 再び甘くて熱い唇を食んだ。

【#145/同題遙か「矛盾」】
 再会した彼女は姿形も声も、記憶の中の彼女のまま── 年の頃すらも。
 それでも彼女は「俺のお嬢だ」と己の感覚が告げている。
 十年という歳月の矛盾なんてどうでもいい。
 たとえ別人だったとしても、今の「お嬢」に惹かれていることは紛れもない事実なのだから。

【#146/同題遙か「作戦」】
「龍馬さん、何か考え事ですか?」
「……ああ、ちっとばかり作戦を練ってるのさ」
「怨霊退治?」
「いや、そうじゃない。 だが、お嬢の力も必要不可欠だ」
「どんな作戦ですか?」
「── お嬢と二人きりで遊びに行くっちゅう作戦だ!」
「……ふふっ、ぜひ参加させてください」

【#147/同題遙か「団子」】
 一つ食べた団子の串をじっと見つめる彼女。
「口に合わんかったか?」
「いえ、美味しいんですけど……太ってしまいそうで」
「よし、じゃあこうしよう」
 彼女の手を引き寄せ、団子を二つ頬張った。
「これで太る心配も半分だろ?」
 残る一つを控えめに齧る彼女の顔が赤くなった。

【#148/同題遙か「魔」】
 油断するとすぐに襲ってくる睡魔。
 それは燃え尽きた蝋燭の炎が消えて、闇に引き込まれるような感覚。
 身体も動かない。
 間近で聞こえる衣擦れの音。
「── 早く元気になってくれよ、お嬢」
 柔らかい何かがそっと触れた額から、魔法にかけられたような温かさが全身を満たした。

【#149/同題遙か「罪」】
「ゆきちゃん…」
「なあに、桜智さん」
「ああっ…」
 おずおずと話しかけた夢の屋に彼女が微笑みかければ、彼が恍惚としてしまうのはいつものこと。
「またか……なあ、お嬢」
「はい」
 ふわりと花のように笑う。
「……お嬢も罪な女だよなぁ」
「え?」
 その笑顔は人を惹きつけすぎて。

【#150/同題遙か「物語」】
 すっと差し出された枕。
「お昼寝、ですか?」
「ああ。 んで、姫の眠りを覚ますのが、俺の役目だ」
 図書館で読んだ物語にそう書いてあった、と胸を張る。
「でも……お姫様を眠らせるのは、悪い魔法使いですよ?」
「あー……だがお嬢が眠ってくれんと『目覚めのキス』ができんだろ」

 一つの枕を分け合って。
 逆に寝入った彼にキスして『私が王子様ですね』と言おうと思っていたのに── いつしかうとうとしていたらしい。
 ハッと目を開けると、そこに優しい眼差しがあった。
「あー、起きちまったかぁ」
「あの…何を…?」
「お嬢の寝顔を眺めてたのさ」
 彼の方が一枚上手。

【2013/01/05 up】