■小ネタツイートLog【その13】
現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)
【#121/同題遙か「うつる」】
一番最初は携帯のカメラで。
それからたくさんの思い出を写してきた。
そして今日──
「新郎さん、もっとリラックス!」
写真屋に言われてふと隣を見れば、白無垢姿の彼女がにっこりと笑った。
緊張に凝り固まった頬が少し緩む。
そして大切な思い出の写真がまた1枚増えた。
【#122/同題遙か「うつる」】
別れが惜しくて、両手で包んだ彼女の顔を覗き込む。
「あの、龍馬さん……近いです」
恥ずかしがる彼女の瞳の中に見えた己の顔。
逆に彼女の瞳には己が映っているはずだ。
ただそれだけのことが嬉しくなって抱き締めた。
「もう……別行動は今日だけなのに」
耳元で彼女が笑った。
【#123/同題遙か「手紙」】
「龍馬さん、何を書いてるんですか」
「これか?
土佐の姉貴への文さ。
心配かけっ放しだからな」
ちらりと文面が見えたけれど、達筆すぎてゆきには読めない。
それ以上に、龍馬がさりげなく見えないように隠したのだ。
「……夢の屋が日記をつけるのが解る気がするなぁ」
「え?」
【#124/同題遙か「砂」】
迫ってくる敵を無我夢中で片付け、気がつけば虚しく静まり返る乱れた部屋。
項垂れた足元の畳が美しく光って見えた。
呆然としている暇はない。
ガラスの破片を拾い上げ、光る砂粒を掻き集める。
決して一粒たりと見落とさないように。
さもなくば二度と彼女に会えない気がした。
【#125/同題遙か「欠伸」】
よく人を「○○属性」なんて分類することがあるけれど。
「ふわあぁ〜」
聞こえてくる大仰な欠伸。見やれば期待の籠った目にぶつかった。
きちんと座り直して、膝どうぞ、と言えば、ぴょこんと立った耳と千切れんばかりに振る尻尾が見えた気がした。
間違いなく彼は犬属性。
【#126/同題遙か「酔」】
蹲るように座り込む。
荒波にもまれる船なら耐えられるが、あの回転は無理だ。
「ごめんなさい……遊園地久しぶりだったから、コーヒーカップ回し過ぎてしまって」
心配そうな彼女の肩に額を押し付ける。擦られる背中が心地良い。
こんな風に甘えられるなら、悪酔いも悪くないか。
【#127/同題遙か「滲む」】
疲労の色を顔に滲ませた彼女をそっと抱き締める。
命を削って白龍の力を使う──それがどういう意味なのか、正確にはよく解らない。
解るのが怖いのかもしれない。
今はただ彼女の負担を少しでも減らして、早く決着をつけるしかない。
約束した未来は腕の中の彼女と共にある。
【#128/同題遙か「交わす」(5青龍)】
龍馬が酒を酌み交わしているのは、珍しいことに瞬だった。
顰めっ面で杯に口をつけるこの無愛想な男がいなければ、龍馬が今ここに存在していないだろう。
「……なんだ?」
「ん?
あー……まあ一献」
徳利を向ける。
嫌そうな溜息を漏らしつつ差し出された杯に酒を満たした。
【#129/同題遙か「純」】
その日の龍馬はやけに機嫌がよかった。
「おお、慎太郎!
聞いてくれ!
お嬢に会えたんだ!
あの純粋で真っ直ぐな目、ありゃあ間違いなく俺のお嬢だ!」
純情な少年のように喜ぶ盟友の十年越しの初恋が実ればいいと願いつつ、今度はのろけ話を聞かされるのかと少しうんざりした。
【#130/同題遙か「鈍」】
思いがけず二人きりになれたから、少し距離を詰めて顔を寄せてみた。
それに気づいた彼女の顔に広がる安心しきった笑み。
おいおい、そりゃあないぜお嬢。もうちっと違う反応してくれてもいいだろう?
時折やけに鋭いのに、この手の事には相変わらずの鈍さだな、と苦笑した。
【2012/09/14 up】