■小ネタツイートLog【その11】
現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)
【#101/同題遙か「約束」】
波音を聞きながら、しっかりと小指を絡めた。
あの小さく細かった指がこんなにたくましくなるまでの長い時間、想い続けてもらえた喜びに胸が温かく、いや、熱くなってくる。
だから何度でもこうして約束しよう。
ずっと一緒に歩いていけるよう、縁をより強く結ぶために。
【#102/同題遙か「鏡」】
通りかかった廊下から、鏡に向かって百面相をしている彼女が見えた。
「おっ、やっぱりお嬢も女の子なんだな。
けど、そんなに試してみなくたって、お嬢はどんな顔も可愛いぜ?」
彼女は顔を赤らめると、
「違うんです、龍馬さんから貰ったのが嬉しくて……鏡台を眺めてました」
【#103/同題遙か「背」】
「いつだって先頭切って立ち向かっていくお嬢の背中を頼もしく見てたさ」
「私も龍馬さんの白い羽織の大きな背中に守られるって思って見てましたよ」
「ってことは……見えてるのは背中でも、俺たちはいつも向き合ってたってことなんだな」
長閑な縁側でお茶を片手に思い出話。
【#104/同題遙か「好奇心」(龍馬)】
彼女が休んでいる間に見つけたのは、開き戸の中の黒い液体の入った容器。
赤い帯に書かれた小さな文字を読む。
「…『こーら』?」
どうにか蓋を捻じり開け、匂いを嗅ぐ。
舐める程度に一口。
「おっ?」
舌にシュワっと刺激。
煎じ薬に似た味と、懐かしい砂糖の甘さ。
「こりゃあ旨い!」
【#105/同題遙か「拗ねる」】
最近いいコンビになってきた龍馬と瞬。さすがは同じ青龍の加護を受ける者同士というところか。
「皺寄せてどうした、お嬢?」
つん、と眉間をつつかれた。
「あー、俺に瞬を取られた気分なんだろ?」
「違います」
「ははっ、だったら瞬にやきもち焼いてるのか」
頬が熱くなった。
【#106】
「きゃっ」
小さな悲鳴と同時に、繋いだ手を引っ張られた。
「大丈夫かお嬢……っとと」
慌てて目を逸らす。
大勢の人にぶつかりそうな上に歩きにくい砂浜、気遣ってやりたいのだが、なにせ今の彼女は水着とかいう露出度の高い召し物姿。
迂闊に視線を向けられなくて、空を見上げながら繋いだ手に力を込めた。
【#107】
土産を手に部屋を訪れると、彼女は昼寝の真っ最中。
「おーい、お嬢、団子だぞー」
いつもよりあどけない可愛らしい寝顔を覗き込めば、ふわりと漂う鈴蘭の香りに頬も緩む。
「お嬢ー、早く起きないと……襲っちまうぞ?」
悪戯に囁いてみる。
すると彼女は薄く目を開け微笑んで、
「ん…はい…」
「いっ!?
いやいやいや、そりゃいかん!」
「え……あっ、ご、ごめんなさい、いつの間にか眠ってしまって…」
ようやくはっきり目覚めた彼女が申し訳なさそうに項垂れた。
「いや、そうじゃなくてだな!
お嬢はしっかり寝てくれ!
寝る子は育つ!
ハハハハッ!」
きょとんとする彼女に見つめられながら、疚しさからくる動揺を乾いた笑いで誤魔化すしかなかった。
【#108/同題遙か「包」】
団子を包んでもらって店を出たら、外は突然の雨。
「少し待ちますか?」
「いんや」
脱いだ羽織をバサッと広げ、彼女の頭からすっぽり被せた。
「あ……ふふ、龍馬さんに包まれてるみたい」
「ああ、お嬢を包んでお持ち帰りってな。
さ、走るぜ!」
「はい!」
彼女の手を取り、軒先から駆け出した。
【#109】
蒸し風呂に入っている夢からはたと目を覚ますと、彼女がしっかりと抱きついていた。
そりゃ暑いはずだ、と苦笑しつつ、彼女の額の汗で張り付いた前髪をそっと除けてやる。
「おーいお嬢、起きてくれー。
おお、そうだ!
一緒に水浴びでもしようぜ!」
抱き締め返して彼女の目覚めの瞬間を心待ちにした。
【#110/同題遙か「熱」】
「あつっ」
「どうしたお嬢!?」
ばたばたと駆け寄る足音。
「あ……お鍋に触ってしまって」
「そりゃいかん!
水だ水!」
ぐいっと手首を掴まれ、蛇口から流れる冷たい水に指先が浸される。
「これで痛みも和らぐはずだぜ」
心配そうな真剣な横顔に見惚れた。
掴まれた手首が熱い。
【2012/09/14 up】