■小ネタツイートLog【その8】 龍馬

 現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
 新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
 ※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)

【#71/同題遙か「邪」】
 彼女の世界の寝具はどれもふかふかで。
「お嬢、これは?」
 小柄な人間程の大きさの物体。
「あ、私の抱き枕……抱き締めて寝るとよく眠れるんです」
 言われてぎゅっと抱き締めてみる。
「へぇ、こりゃなかなかの抱き心地──」
 ふと浮かんだ邪な考えに、ふるふると頭を振った。

【#72/同題遙か「盗」】
「人のものを盗むなんて……」
 彼女が可愛い顔を曇らせる。
 怨霊退治の途中、遭遇したスリを捕まえたのはついさっきのこと。
「ま、盗んででも欲しいっちゅうもんもあるけどな」
「だめです、龍馬さん!」
 呟きを聞き咎められて、苦笑しつつ盗み見るのは彼女の柔らかそうな唇。

【#73】
「ん、どうした?」
 彼の肩にぽてりと乗せた頭に、声が直接響いてくる。
「えっと……ちょっと甘えてみたくなって」
「ああ、それでいいさ。 お嬢はもっと周りに甘えた方がいい」
 わしわしと撫でられる頭が心地いい。
 見上げると優しい眼差し。
「俺も甘えていいかい?」
 額に優しいキスが降ってきた

【#74/同題遙か「束の間」】
 碧い海を切り裂く舳が白い波を蹴立て、それを眺める隣には彼女の姿── 現に見た束の間の夢。
 ただの夢で終わらせてなるものか。
 二つの世界の均衡を取り戻し、共に在る未来を永遠の現にしてみせる── 彼女の柔らかな温もりにそう誓った。

【#75】
「あ」
 ふいに彼女が襟足の髪の一房に手を伸ばしてきた。
「どどどどうしたお嬢っ!?」
「えと、寝癖かなって」
「はぁ?  坂本の髪が跳ねてるのは、いつものことだろ」
 呆れた顔で言い放つ都。
「ううん、いつもと違うの」
 直しましょうか?と懐から櫛を取り出した彼女の厚意に甘えることにした。

【#76/同題遙か「馬」+続き】
 部屋に戻るとやけに賑やかだった。
「小松さん、何かあったんですか?」
「近所の子供に懐かれたらしくてね」
 部屋の中を覗くと、お馬さんごっこを楽しんでいる男の子。
「よっ、お嬢!」
 馬役の龍馬がニカッと笑う。
「どうだい、お嬢も乗せてやろうか?」
「いえ……」
 思わず後ずさり。

「──ってことがありましたよね」
 洗濯物を畳みながら、くすくすと思い出し笑い。
「遠慮しなくてよかったんだぜ?」
「恥ずかしかったんですよ」
 ふと近づいてくる賑やかな足音。
「とうちゃん!  おうまさん!」
「おう、いいぞ!」
 可愛い息子を背中に乗せて馬になりきる夫の姿に目を細めた。

【#77/同題遙か「かわく」】
「喉、渇きましたね」
「ああ、こんな時は──」
 近くにあった自販機へ一直線。
「やっぱこれだろ!」
 ゴトゴトン、と落ちてきた赤い缶。
 美味しそうに喉を鳴らす彼が、ん?、と視線で訊いてくる。
 コーラにちょっとやきもち、なんて言えなくて、缶よりも赤くなって俯いた。

【#78/LaLaDXふろくネタ】
 花火見物の客を見込んでずらりと並ぶ出店。
 涼やかな音に誘われて思わず足を止めた。
「あ、これ……可愛い」
「お、いいな。 縁側のとこに吊り下げようぜ」

 夜空に大輪の花が咲く中、混雑を避けて少し早めに帰途に就く。
「さっきの、ちょっと見せてくれよ」
「はい、どうぞ」
 紙袋の中から取り出したのは、さっき出店で買った風鈴。
 逆さまにした小さなガラスの金魚鉢の中で、尾びれが立派なガラス細工の真っ赤な金魚が揺れている。
 龍馬は鉢の底に付けられた紐を摘んで、彼女の手からそっと持ち上げた。
 彼女の顔の前で、金魚に吊るされた短冊が夜風に吹かれて金魚も揺れて、チリチリン、と涼しげな音を鳴らす。
「ふふっ、本当に可愛いですね」
 彼女の白い指先が、つん、と赤い金魚をつつく。
 チリン、と鳴った。
「いい音だな。 暑い日の夕涼みにゃ持ってこいだぜ」
 小さな家の縁側に二人並んで風鈴の音色に耳を傾ける── そんな幸せが、今ここにある。
 頬と頬とを寄せ合ったまま、チカチカと花火に照らされる金魚をしばしの間一緒に眺めていた。

【#79/同題遙か「尻」】
 夫婦ってのは、亭主がかみさんの尻に敷かれてるくらいがいいんだよ。
 酒瓶と団子を手土産に来た土方がそう言い放つ。
「尻に敷くとかよりも、相手のことを大切に思っていればいいんじゃ…」
「ああ、俺はいつでもお嬢が大切だぜ!」
 からかったつもりが、顔を見合わせ微笑む二人に完全に当てられた。

【#80/同題遙か「祈り」】
 怨霊退治の後、近くの祠に手を合わせる彼女。
「神に祈りを捧げる乙女、だな」
 頬を染めた彼女が、ふと瞳を輝かせる。
「『乙女の祈り』っていう曲があるんです。 アーネストに頼めばピアノで弾いてくれるかも」
 駆け出そうとした彼女の手を咄嗟に掴み、
「もうちっとここでお祈りしてこうぜ、一緒に」

【2012/06/13 up】