■お揃いのカップ【龍ゆき編】 龍馬

 蓮水家のリビングでくつろぐ龍馬の前に、湯気の立つカップがそっと置かれた。
「どうぞ、龍馬さん」
「おっ、ありがとな、お嬢」
 以前、英国公使館で見たような華奢な意匠のカップを龍馬はおっかなびっくりで手に取った。
「どうかしましたか?」
「いや、なんかこう……西洋の器ってのは、うっかり壊しちまいそうでさ」
「そういえば、和食器よりもずいぶん薄いですもんね」
 ゆきもまたカップをそっと持ち上げ、まじまじと眺めている。
「これは確か……誰かの結婚式の引き出物でもらったもの、かな? ペアカップなんですよ」
「ぺあ、かっぷ?」
「あっ、えーと……夫婦茶碗みたいなもの……?」
「へぇ、そりゃあ粋なことをするもんだな」
「新しく夫婦になられた方からの、幸せのおすそ分けですね」
 ふふ、と微笑むゆきを見ていた龍馬の顔に、彼女以上の笑みが広がった。
「なあ、お嬢」
「はい?」
「いつか俺たちも、みんなに『幸せのおすそ分け』をしような」
「えっ…………はい」
 ほかほかと湯気の立つカップの向こうに見える彼女の顔が真っ赤に染まり、まるで彼女の顔から湯気が出ているように見えた。

〜おしまい〜

【プチあとがき】
 「『お揃いのカップで飲み物を飲む』『東かな』を描きor書きましょう。」
 (ツイッター診断メーカー「可愛いカップル描いちゃったー」より)
 直後やった将望でも同じ結果が出たので、他CPでも書いてみることにしました。
 東かな、将望、龍ゆき、アシュ千があります。
 おそらくED後。『お嬢は俺の嫁!』確定の龍馬さん(笑)

【2011/06/03 up/2011/06/08 ブログより移動】