■小ネタツイートLog【その1】

 現在ツイッター(@yuna_fantasia)にて小ネタツイート垂れ流し中。
 1日1ネタが目標ですが、ネタが降ってこなければおやすみ。 そんな自由な感じで。
 そのログ的にちょこっとずつまとめていきます。
 新ネタは上記アカウントにてご覧ください。
 ※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)

【#01/同題遙か「胸」】
 あの血で染めたような満月の下で出逢った時、こんな日が来ると誰が想像しただろう。
 金糸の髪を指先で梳けば、似た色の月明かりに煌く。
 胸元にかかる規則正しい寝息がふいに乱れた。
 日が昇ったら緑の野をただ並んで歩くのもいい。
 穏やかな時をくれた存在を胸に抱き締めた。

【#02/同題遙か「隠」】
「お願い、匿って!」
 駆け寄ってきた千尋がマントの中に潜り込み、背中にしがみついてきた。
 裾から足が丸見えのこの状態で隠れているつもりなら、浅慮にも程がある。
 けれど背中がやけに温かい。
 ふと漂ってきた妙な臭いの先で、湯呑を持った夕霧が笑いを噛み殺していた。

【#03/同題遙か「空」】
「──行こう、黒麒麟」
 鬣を撫でれば黒き獣神は闇に溶け込むかのように夜空に舞い上がる。
「千尋っ!  悪かった、降りて来い!」
 下から聞こえる声につんと顎を上げ、
「アシュヴィンのバカ!  もう知らないんだから!」
 フォウと相槌のような声が聞こえて千尋はくすっと笑った。

【#04/同題遙か「指」】
 ふとした拍子に彼の腕に指先が触れた。
 すぐさま掴まれた手は、彼の顔の前まで引っ張られる。
 まじまじと眺めながら、ふむ、と満足そうに唸って、すっと指の腹を撫でた。
「どうかしたの?」
「随分と柔らかくなったな」
 もう弓を使う必要のない平和な世になったから。

【#05/同題遙か「肌」】
 皇の部屋は背筋が凍るような冷戦状態だった。
「……どうかなさいましたか?」
「聞いてよリブ!  私はアシュヴィンみたいに日焼けしたいのに、ダメって言うの!」
「まったく……聞き分けのない女だ。 今の白い肌の方がいいに決まっているだろう!」
 やはり犬も食わない痴話喧嘩。

【#06/同題遙か「扉」】
 私室の前で、扉越しに詫びたことをふと思い出す。
「入らないの?」
 部屋の中からではなく、背後から声がした。
 きょとんとしている彼女を引き寄せ抱きすくめる。
「アシュヴィンっ!?」
 案じ合うことに慣れてしまった今なら、強引に扉をこじ開けるに違いない、と小さく笑った。

【#07/同題遙か「雷」】
「どうして『八雷』なの?」
 雷雨に荒れる窓の外を眺めていた彼女は、振り返るなりそう訊いた。
「雷を操るアシュヴィンはわかるの。 でも他の人は違うでしょ?」
 雷に悲鳴を上げてしがみついてくるような女ではないと思ってはいたが。
「何笑ってるの?」
「思惑が外れた」
「?」

【#08/同題遙か「仮面」】
 血に染めたような赤い月の下で出逢った時、咄嗟に『敵』という仮面を被ったに違いなかった。
 それは『仮初めの協力者』となり、『偽りの夫』へと変遷する。
 戦況は悪化し、死が迫った。この女を死なせたくない── 仮面では隠しきれない想いに、いつしか素顔を晒していた。

【#09/同題遙か「嫁」】
「義姉様、兄様と別れて僕のお嫁さんになってよ」
 戸惑っている義姉に向け、シャニは茶目っ気たっぷりに片目を瞑った。
 と、背後からカツカツと硬い足音が近付いてきて、義姉の身体がふわりと浮く。
 愛妻を抱えていく兄の独占欲丸出しな後ろ姿が予想通りで思わず吹き出した。

【2013/01/28 分割再up】