■ふぉ〜りんらぶ番外編 【11:次は?】

※本編終了後のお話です

「── まだ生まれないのか?」
「そうねー、もう少しかかると思うわ」
 ここ最近、アシュヴィンと千尋の間で頻繁に交わされる会話である。
「この子の顔を早く見たいのはわかるけど」
 寝台の上で大量の枕を背に、パンパンに張った腹をさすりながら千尋が笑う。
「それもあるが──」
 寝台の彼女の足元に腰掛け、腕を組んで唸るとアシュヴィンは黙り込んでしまった。
「なぁに? 他にも何かあるの?」
「だから……子が授かったと知った時、俺は記憶を失っていただろう?」
「ええ、まあ……そうね」
「我に返った時には既にその事実を知っていた」
「そう、なるわね」
「だから『その瞬間』の喜びというものを知らん」
「そうでしょうね」
「だから……」
「だから?」
 すっくと立ち上がったアシュヴィンは千尋に向けてビシッと指を突きつけ、
「その子が生まれたら一刻も早く次の子を仕込んで、俺に『子を授かった喜び』を味わわせてくれっ!」

 しばしの沈黙の後。
 わなわなと唇を震わせたかと思うと、
「あ………アシュヴィンのバカーーーーっ!!」
 千尋は背中の枕をひとつ抜き取ってアシュヴィンへと投げつけた。

 そしてアシュヴィンは部屋から閉め出され。
 入室を許可された後もしばらく口をきいてもらえなかったとか。

〜おしまい〜

【プチあとがき】
 またもや本編台無し(笑)
 でも残念に思ってるのは確かだと思うんだよね〜

【2008/12/19 up/2008/12/26 拍手より移動】