■小ネタツイートLog【その2】
Twitter(@yuna_fantasia)小ネタツイートまとめ。
※「同題遙か」記載のあるものはTwitterでの企画参加作です。(ハッシュタグ:#同題遙か)
【#11/同題遙か「なぞる」】
「あの時、将臣くんはどこにいたの?」
腕を枕に転がる将臣の横で、うつ伏せて頬杖をついた望美が訊いた。
「そうだな…」
こうして少しずつ、互いの辿った道をなぞっていく。
「分かれ道だったけど、目的地は一緒でよかったよね」
ごろりと転がって彼女の背中に圧し掛かった。
【#12】
「今日はプロポーズの日だって」
「へぇ」
「へえ、じゃなくて!」
「んじゃ……お前がうちに来る?
俺がお前んち入ってもいいが、別に部屋借りるのが無難だろうな」
「そういうことじゃないの!」
「お前以外で考えられねぇし、後は時期的なもんだけだろ?」
「そ…そうだけど」
「で、昼メシ何食う?」
【#13/同題遙か「言い訳」】
「犯人はお前か!」
軽くチョークを決めながら問い質す。
人数分あったはずの蜂蜜プリン。
所用を済ませて帰ってくれば、将臣の分はすでに望美の腹の中。
「だってこの世界に冷蔵庫はないし!
それに──
今日は帰ってこないと思ったんだもの」
言い訳なんてできるはずもない。
【#14/同題遙か「火花」】
「俺が食べようと思ってたんだ!」
「だめ!
早い者勝ち!」
額をくっつけ、冷凍庫に一つだけあったアイスの袋を引っ張り合う二人の周りには飛び散る火花が見える気がした。
獲物を目の前にした肉食獣のような表情さえなければ今にもキスしてしまいそうで、思わず目を伏せた。
【#15/同題遙か「縛」】
「やっぱ縛られるのは勘弁だよな」
めくっていた雑誌の恋愛相談コーナーが目に止まって思わず口に出た。
「将臣くんって緊縛プレイに興味あるの?
やだ趣味悪い」
「んなわけあるか」
こんな思考をするヤツを野放しにしたら危険極まりない。
「……やっぱ縛りつけとくか、俺んとこに」
【#16/将望・同題遙か「折」】
将臣が山で笹を切って帰ってくると、望美が言仁と六代に折り紙を教えていた。
紙の上をすっとなぞる彼女の指。
「ふーん」
「な、何?」
「俺の背中もそうやって撫でられてるのかと思ったら、ちょっとゾクッときた」
「ば、バカ!」
突き飛ばされて、支えにした笹がポキリと折れた。
【#17】
「今日は暑いね」
「アイスあるぜ」
そう言って将臣が冷凍庫から出してきたのはパピコ。
パキンと割った一つを差し出され、受け取った指先がひんやりと心地いい。
封を切って口にすれば、冷たいコーヒーの甘さが広がった。
「これってさ、別々の味だったらよかったのにね」
「そうか?」
「だって、取り替えっこしたら2つの味が楽しめるでしょ」
「んじゃ──」
前触れもなく後ろ頭を掴まれ、いきなり口づけられて。
「── なんとなく味が違う気がするだろ?」
にっ、と悪戯っぽい笑み。
「……お、同じだよっ!」
熱くなった頬を冷えた手で懸命に隠した。
【#18/3幼馴染】
笹の飾り付けも終え、後は星空を眺めるだけ。
「ねぇ、お団子は?」
「は?」
「すみません、今日はこれで我慢してください」
譲がスイカを縁側に置く。
見れば望美は赤い顔で唇を噛んでいた。
「あ、お前、月見と勘違いしてただろ」
「そ、そんなことないもん!お団子食べたかっただけだもん!」
【#19/3幼馴染・同題遙か「悪役」】
「怪人マサオミ、覚悟っ!
バンバンっ!」
「ぐあっ」
一応膝から床に崩れ落ちてやる。
「これで譲くんをいじめる悪いやつはやっつけたからね!」
「ありがとう、のぞみちゃん」
望美は指で作った銃の銃口を得意げにふっと吹いた。
「くそー、なんでいつも俺が悪者なんだよ」
【#20/同題遙か「迷い」】
心はまるで複雑な迷路の中を彷徨っているようだった。
このまま行けば、必ず戦場で再会することになる。
どうすれば、どうすれば、そればかりが心の中に渦巻いた。
静かに目を閉じる。
ここは一瞬の迷いが死に直結する世界。
深呼吸してすっと顔を上げる。
もう迷うのはやめた。
【2013/01/28 分割再up】