■1月31日は……【将臣編】 将臣

【はじめに】
 えー、1月31日は『愛妻の日』だそうです。
 1=I(アルファベットのアイ)、3=さ、1=い、で『あいさい』。
 壮大なこじつけのような気がしないでもありませんが……
 いつも買い物してるスーパー内のお花屋さんでそんなポップを見つけました。
 というわけで、4カップルの『愛妻の日』をお楽しみください(笑)

【有川ご夫妻の場合】

「── ねえねえ将臣くん、今度の月曜って『愛妻の日』なんだって」
 夕食の片付けも終わり、ソファで寛ぎ雑誌をめくっていた望美が唐突にそう言った。
 どさりと彼女の隣に腰を下ろして手元を見れば、開いているのはそんな活字が踊るページ。
「へぇ、今度の月曜っていやぁ1月31日だよな。 あい、さ、い、か……日本人ってほんと好きだよな、そういう語呂合わせ」
「だよねー…………というわけで」
 嫌な予感に将臣が顔を上げると、思った通りそこにはにまにまと笑う望美の顔があった。
「ね、何か美味しいもの食べに行かない?  将臣くんのおごりで」
「はぁ?  なんで俺がおごるんだよ。 うちのサイフはお前が握ってんじゃねぇか」
「お小遣いあげてるじゃない」
「お前な、俺のなけなしの小遣いを当てにすんなって」
「えー、『愛妻の日』なのにー」
 不満そうに頬を膨らませる望美。 せっかくの美人が台無しじゃねぇか、と将臣はこっそり溜息を吐く。
「……ま、たまにはいっか。 どうする、外で待ち合わせするか?」
「ほんと?  ほんとにいいの?」
「お前が言い出したんだろうが」
 ぐいっと身を乗り出してきた望美の額を目がけ、ばちんと一発デコピンをお見舞いしてやる。
 痛い!と額をさする彼女は、それでもなんだか嬉しそうだった。 そんな顔が見られるなら、懐の寒さも我慢する気になるというものだ。
「ね、ね、どこ行く?  フランス料理フルコース?」
「んな金ねーよ。 せいぜいファミレスか回転寿司がいいとこだな」
「えーっ、せめて焼肉!」
「あのな……ああわかったわかった、好きなだけ肉食え。 その代わり、来月分の小遣い、少し増やせよ」
「えーっ、それはお約束できません」
「なんだとっ」
 将臣は隣に座る望美へ向けて腕を伸ばし、肉食の獣のようにがばりと覆い被さった。
「きゃっ !?  や、やだっちょっとやめてってばっ!  ひゃっ、くすぐったいっ!  きゃははっ!」
 これでもかと妻の腋をくすぐる夫、くすぐられてじたばたと身悶えする妻。
 彼らにとっては珍しくもない光景の中、有川家の夜は更けていくのであった。

〜おしまい〜

【プチあとがき】
 将臣編です。
 彼らは長い幼馴染歴を生かして(?)典型的ともだち夫婦で書いてみました。
 迷宮後……ですかね。
 この二人はじーさんばーさんになるまでこうやってきゃっきゃしてるといい。

【2011/01/22 up】