■お揃いのカップ【東かな編】 東金

 千秋は先日買ったばかりのマグカップから、コーヒーを一口すすった。 少し濃いめに淹れたブラックコーヒーの心地よい苦みが、わずかに残った眠気を身体から追い出してくれるようだ。
 テーブルの上にはトーストとベーコンエッグ、ボイルしたソーセージにグリーンサラダというごく一般的な朝食メニューが並んでいる。 ふと見れば、正面に座るかなでもマグカップを傾けているところだった。
 彼女のカップの中身はミルクと砂糖たっぷりのカフェオレ。 両手で包むようにして一口こくんと飲み込むと、はふ、と幸せそうな息を吐いてぼんやりとカップを見つめている。
「── まだ眠そうだな」
 揶揄するようにニヤリと笑いながらそう言って、並んだ皿の向こう側にカップを置いた。
「ちゃんと目は覚めてますぅ」
 失礼な、と言わんばかりに唇を尖らせるかなで。 それからふっと口元を緩めて、持っていたカップを千秋が置いたカップのそばにそっと置いた。
「ふふっ……おそろい、です」
 嬉しそうな顔のかなではつと指先でカップを押す。
 かちり、と小さな音を立てて、色違いのカップがテーブルの真ん中でぴったりと寄り添った。

〜おしまい〜

【プチあとがき】
 「『お揃いのカップで飲み物を飲む』『東かな』を描きor書きましょう。」
 (ツイッター診断メーカー「可愛いカップル描いちゃったー」より)
 直後やった将望でも同じ結果が出たので、書いてみることにしました。
 東かな、将望、龍ゆき、アシュ千があります。
 しぃずんず・ぷち♪【6】後日談的な。

【2011/06/03 up/2011/06/08 ブログより移動】