■気づいてね　東金

「千秋さん！」
　目の前に立つかなではニコニコと笑顔を振り撒いていた。
　ちょっと首を傾げてみたり、誰もいもしない後ろを振り返ってみたり。
　どこか動きがせわしない。
　このまま眺めているのも悪くはないのだが、生産性のない時間を過ごすのは性に合わない。
「──さて、今度の休日はどうする？」
　そう話を振ったとたん、かなでのこめかみに怒りマークが浮かんだ気がした。
　きゅっと唇を噛み締めて、上目遣いに睨んでくる目にはみるみる涙が浮かんでくる。
「……千秋さんの馬鹿ぁ！」
　一言怒鳴って踵を返してダッと駆けていく。
「お、おいっ！？」
「──あれ？　今の、小日向ちゃんか？　えらい頭さっぱりしとったな」
「え゛」
　髪をカットしたことを気づいてほしかったかなでと、かなでがかなでであればそれでいい東金のちょっとしたすれ違い。

〜おしまい〜

【プチあとがき】
　第３弾はゆな＠管理人が美容院に行ったせいで何もUPできなかった言い訳（笑）

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